日刊自動車新聞社

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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ㉙日産自動車

日産自動車は、横浜で創業した日本を代表する自動車メーカーの一つです。同社はルノー、三菱自動車と企業連合(アライアンス)を組んでいます。3社合計の世界新車販売は1千万台規模で、トヨタ自動車や独フォルクスワーゲンと肩を並べます。

日産は1933年に設立された「自動車製造」が前身で、当時の社長は鮎川義介氏でした。34年には社名を現社名に変更し、66年にプリンス自動車工業を吸収合併しました。バブル期(80年代後半)には高級車の大ヒット「シーマ現象」を起こすなど順調でした。しかし、バブル崩壊後は経営危機に陥り、99年から仏ルノー傘下で立て直しを図ることになりました。

eパワーを搭載する日産「ノート」

ルノーから経営陣に送り込まれたカルロス・ゴーン氏が主導したリストラ計画「日産リバイバル・プラン」によってV字回復を遂げました。そして2002年に軽自動車市場に参入するなど足場を固めていきました。16年には燃費不正問題で経営が危うくなった三菱自に出資し、ルノーを含めた3社の企業連合が誕生することになりました。

ゴーン体制の下では販売台数を増やす拡大路線に舵を切りましたが、過剰な生産体制が収益を圧迫するようになりました。加えて車のモデルチェンジのサイクルが長期化したことも業績悪化の一因となりました。特に国内では他メーカーに比べて新型車の投入数が少なくなり、販売店の苦労が続きました。

会長の座に上り詰めるなど20年間にわたりトップに君臨したゴーン氏は、18年に金融商品取引法違反の容疑で東京地検特捜部に逮捕されました。経営を引き継いだ内田誠社長は量ではなく〝質〟を重視する経営路線に転換し収益改善に取り組んでいます。

最近は自動運転技術「プロパイロット」やハイブリッドシステム「eパワー」、電気自動車などの技術力を訴求して拡販を目指しています。

今期は、新型コロナウイルス感染症や半導体不足などのマイナス要素がありますが、日産単独では世界新車販売で前年度比8.6%増の440万台の計画です。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月10日号より