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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ㊲いすゞ自動車

1916年創業のいすゞ自動車は、日本で最も古い歴史を持つ自動車メーカーです。東京石川島造船所と東京瓦斯電気工業が自動車製造を企画したことが始まりで、29年に東京石川島造船所の自動車部が独立し、37年に現在のいすゞの前身の東京自動車工業を設立しました。社名の「いすゞ」は、伊勢神宮周辺を流れる五十鈴川にちなんで命名した車の名前が由来です。

100年以上の歴史を持ついすゞですが、現在はまさに「100年に1度の大変革期」の真っただ中にあります。物流業界でトラックやバスの電気自動車(EV)を求める声が一気に強くなったためです。これまでいすゞをはじめとした日本の大型車メーカーは、ディーゼル車同等の利便性やコストをEVで維持するのは時期尚早と考え、急速なEVシフトには否定的でした。ところが、カーボンニュートラルの気運の高まりを受けて物流事業者側のニーズが急拡大。一部の事業者には海外メーカーのEVを採用する動きが起こりました。

エルフEV ウォークスルーバン

いすゞはこれまで自社開発してきたEVの商品化を急ぐとともに、より競争力の高いモデルを送り出すため他社との協業を進めています。具体的にはEVや自動運転など先進技術の開発コストの合理化をねらって、商用車大手のボルボ・トラックと協業を開始。商用車と相性が良いとされる燃料電池の活用に向けた開発も進めており、大型トラックはホンダ、小型トラックはトヨタ自動車および日野自動車とともに商品化を進める方針です。

いすゞと言えば大型車メーカーの印象が強いですが、かつては乗用車も開発・生産していました。1953年の「ヒルマン」に始まり「ベレット」(63年)、「117クーペ」(68年)などの名車を世に送り出しました。特に117クーペは著名な工業有名デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロ氏が手がけた美しいスタイリングで高い評価を得ました。

その後、国内では乗用車から撤退しますが、現在はタイなど新興国を中心にピックアップトラックやSUVを展開しています。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月23日号より