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よくわかる自動車業界

連載 自動車業界入門 ㊵ヤマハ発動機

ヤマハ発動機の原点は、日本楽器(現ヤマハ)にあります。当時、同社社長に就任した川上源一氏の指揮のもと、オートバイ用エンジンの試作に着手したことを機に1955年7月、日本楽器からモーターサイクル製造部門が独立しヤマハ発動機が設立されました。

二輪車事業は売上高の6割超を占める主力事業です。日本をはじめ、インドや中国、東南アジア、中南米などグローバルに生産拠点を展開しています。2020年12月期の二輪車出荷台数は、新型コロナウイルス感染症の影響が生じましたが、中国で新車販売を2ケタ伸ばしたほか、日本・米国・欧州で落ち込みを前期比5%弱にとどめるなど健闘しました。

初の市販車「YA-1」(1955)

二輪車以外にもボートや船外機などのマリン(売上高構成比約2割)、電動アシスト自転車など幅広く事業を展開することが特徴です。その中でも、二輪車やマリン事業に次ぐ成長の柱と位置付けるのが産業用ロボットです。全売上高に占める割合をみると、ロボット(ロボティクス事業)はまだ5%と低いです。しかし、自動車の電子化を支える表面実装機や工場の自動化を支援する産業ロボットの需要をどんどん取り込み、成長につなげていく考えです。

ヤマハ発は四輪車分野でもビジネスを展開してきました。過去にはトヨタ自動車と「トヨタ2000GT」の開発で協業し、その後もレクサス車向けなどの高性能エンジンの供給を行いました。かつては四輪車事業への参入を計画しましたが、採算が見込めないため18年に断念しました。

ただ、四輪電動車向けに高性能な電動モーターユニットの試作・開発受託を開始するなど、時代の変化をにらみ新たな挑戦を始めています。5月には自動車向け製品・技術コンセプトのブランド「alive(アライヴ)」を発表しました。これまでモーターやエンジンの開発で培った知見を生かし、新規ビジネスの獲得を目指します。

※日刊自動車新聞2021年(令和3年)6月28日号より