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自動車業界トピックス

「電子車検証」の交付迫る OSS連携で業務効率化

電子政府へ欠かせぬ一歩 運輸支局では一時的な混雑も

現在の車検証と電子車検証(右)

電子化された自動車検査証(電子車検証)の交付が来年1月4日に迫った。新規登録や継続検査(車検)などの手続きで、紙の車検証からICタグがついた電子車検証に切り替わる。自動車保有関係手続きのワンストップサービス(OSS)と連携することで、運輸支局に出向く手間がさらに減ることになり、販売会社や整備事業者の業務効率化が見込まれる。整備事業者の多くは、業務効率化などのメリットを認める一方で、運輸支局での窓口が一時的に混雑することも予想され「業界全体が早く慣れることが重要」(大手整備事業者)としている。

電子車検証のサイズは縦105㍉㍍、横177.8㍉㍍と、文庫本よりやや大きめだ。本体には「自動車登録番号/車両番号」「車体番号」など、車検や変更登録などの影響を受けない基本情報を記載する。ICタグには「車検証の有効期限」「所有者の氏名・住所」などが記録される。

ICタグの情報は「車検証閲覧アプリ」を通じ、パソコンやスマートフォンからいつでも確認できる。車検証情報の出力やリコール(回収・無償修理)情報などの確認もできる。ICタグの記録容量には余裕があるため、国土交通省は新サービスの検討を進めている。

 国交省は、電子車検証の導入目的を「自動車ユーザーや自動車関連事業者の利便性向上のため」と説明する。自動車関係の行政手続きは、登録・検査や納税などがあり、担当行政機関もさまざまで煩雑だ。自動車の登録・検査の申請数は年間3千万件に上り、手続きの簡素化は電子政府化を進める上でも欠かせない。

電子車検証への切り替えにより、車検や変更登録などの一部手続きをオンライン化することで、運輸支局に出向く必要がなくなる。2005年から導入しているOSSの普及をさらに促す狙いもある。

自動車関係事業者が電子車検証を使った手続きなどを行う場合、運輸支局などから「記録等事務代行業務」の委託を受ける必要がある。年内の申請は郵送だけだが、23年1月からは「記録事務代行ポータル」でオンライン申請できるようになる。

記録等事務代行者になれば、電子車検証のICタグに記録された情報を車検後にオンラインで書き換えるだけで済み、検査標章の印刷もできる。ただし、電子車検証の本体に記載された基本情報を変更する場合は、電子車検証を新たに交付する必要があり、運輸支局などへ出向く必要がある。抹消登録も同様だ。

23年1月4日から始まる電子車検証の交付対象は、登録車(排気量660cc超)と小型二輪車。軽自動車の電子車検証交付は24年1月からを予定している。今回の電子車検証の導入に伴い、23年1月から検査・登録手続きなどの手数料も50~500円、それぞれ引き上げられる。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)12月22日号より