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自動車業界トピックス

国交省、「OBD検査」関係法令の通達案を公表

検査・確認のルールや行政処分の対象などを明確化

「検査用スキャンツール」を共有する際の規定も明確化する

2024年10月からの「OBD(車載式故障診断装置)検査」を踏まえ、国土交通省は自動車整備関係法令で新設や改正を予定する通達案を明らかにした。整備事業者などがOBD検査または「OBD確認」を行う際のルールや、行政処分の対象となる行為などを明確化する。OBD検査準備会合の審議などを経て、24年3月末にも正式に決める。

通達案は5つ。このうち、整備事業者にとって重要なのが「自動車特定整備事業者などにおけるOBD検査及びOBD確認の取扱方針」で、整備事業者がOBD検査などを実施する際のルールを定めたものだ。

「OBD検査システム」の利用は①整備事業者などが自社で点検整備を行う車両(一部車両を除く)のOBD確認またはOBD検査を行う場合②整備振興会などで整備事業者が点検整備を行った車両のOBD確認を行う場合―に限る。

OBD検査システムに接続するスキャンツール(外部故障診断機)は、国土交通大臣が定める技術基準に適合した「検査用スキャンツール」とする。検査用スキャンツールを複数事業者などで共有する場合、事業場や整備事業者ごとでの使用実績が把握できるように管理する必要がある。

OBD確認は、事業場の敷地内で実施することを求める。また、OBD確認済みの車両を自動車技術総合機構などの検査コースに持ち込むまでに、OBD検査の合否に影響する整備や改造をしてはならない。この規定に違反した場合、改めてOBD確認を実施する必要がある。行政処分の対象にもなる。

 「自動車整備事業者に対する行政処分などの基準について」の一部改正案は、OBD検査とOBD確認に関する事項のうち、行政処分の対象となる行為や、それらを踏まえた監査方針などを規定するものだ。検討中の処分例では、自動車検査員が他人のOBD検査システムのID・パスワードを使用してOBD検査をする「なりすまし」などを挙げている。違反点数など処分の詳細は検討中だ。

このほか、OBD検査システムに用いるID・パスワードの管理ルールや、災害などでOBD検査が実施できなくなった場合の緊急的な代替措置、これに伴う手続きなども新たに規定する。

国交省は、整備事業者などの現状などを踏まえながら通達案の検討を進めており、12月までに通達案の全文を公表する予定だ。10月から始めているOBD検査「プレ運用」の状況も参考に、12月22日に予定する準備会合で通達案を審議する。24年2月頃にパブリックコメント(意見募集)を行い、3月末頃に通達案を正式公表する予定だ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)11月08日号より