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自動車業界トピックス

国交省、「OBD確認」を車検場で抜き打ち検査

替え玉受検〟などの不正を阻止

「替え玉受検」を防ぐ(検査ライン)

「車載式故障診断装置(OBD)車検」がスタートする今年10月に合わせ、国土交通省は自動車検査場(車検場)で抜き打ち検査を始める。受検車と同じ型式の車両を用いる〝替え玉受検〟や、スキャンツール(外部故障診断装置)を改造するなどの不正行為を見つけるのが狙いだ。抜き打ち検査で不正が発覚した場合は行政処分を科す。

抜き打ち検査の対象は、認証工場が「OBD確認」をあらかじめ済ませて車検場に持ち込む受検車。OBD確認は、指定工場によるOBD検査と同様に、認証工場が受検前にOBD検査用サーバー経由で「特定DTC」(故障コード)の有無を確認するものだ。義務づけではないが、保安基準の適合記録が同サーバーに保存されている場合は、車検場でのOBD検査を省略することができる。

 ただ、現行制度では、OBD検査の対象となる電子制御ユニット(ECU)に車両固有のVIN(車両識別番号)を記録することを義務づけていない。大半のメーカーが自動車検査証(車検証)と同一のVINをECUにも記録させているが、義務化されていない以上、OBD確認を行った車両と受検車の同一性を完全に担保できない。受検車と同型式の他車両でOBD確認を通す恐れのほか、故障箇所のECUの機能を一時的に停める、スキャンツールを改造して特定DTCを検出させないようにする、など他の不正行為も考えられることから、抜き打ち検査を導入することにした。

車検場では、受付処理時にOBD検査用サーバー側で設定された「抜き取り率」に基づいて機械的に抜き打ち検査を行う。当面はOBD検査対象台数が少ないことから、抜き取り率を10%(10台に1台)とする。その後は抑止力を高める観点から抜き取り率は公表しない。また、設定した抜き取り率に関わらず、検査する場合もある。「不正行為を行っている」などの通報が寄せられた場合、必要に応じて特定の整備工場の抜き取り率を引き上げる措置もとる。

抜き打ち検査で不正行為を確認した場合は、必要な手続きを経て行政処分などを行う。処分基準や内容などは国交省が現在、詰めている。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)2月9日号より