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自動車業界トピックス

国交省、ビッグモーター指定工場の再申請 通常よりも厳格に審査

新法人ですぐに再申請可能

新会社になると指定工場の再申請が可能になるが…

伊藤忠商事など3社連合による買収が決まったビッグモーター(和泉伸二社長、東京都多摩市)。現在の店舗や整備工場、従業員は原則的に新会社がすべて引き継ぐ見通しだ。国土交通省は道路運送車両法に基づき、ビッグモーターが持つ指定整備工場(107事業場)の約3割に当たる39事業場(累計)の指定を取り消した。2年間は再申請が認められないが、法令上、新会社になると直ちに再申請が可能になる。ただ、国交省は再発防止策などの進ちょくなどを踏まえながら、通常よりも厳格に審査を行う方針だ。

自動車整備工場には「認証工場」と自動車検査を代行できる「指定工場」がある。道路運送車両法の第82条によると、認証工場(自動車特定整備事業者)で相続やM&A(企業の合併・買収)があった場合、合併後の存続法人や合併で設立された新法人、会社分割で自動車特定整備事業を承継した法人は、自動車特定整備事業者の「地位を承継する」とある。事業者が変わっても認証資格は引き継げるということだ。ただし、行政処分なども同時に引き継がれる。

一方で、指定自動車整備事業の承継に関する規定はない。このため、指定工場を運営する事業者が買収などされた場合、指定自動車整備事業の効力は失われる。これとともに、行政処分の効力も失われるというわけだ。

こうしたことから、指定取消を受けたビッグモーターの39事業場を3社連合による新会社が引き継いだ場合、対象事業場は指定工場の認証を喪失するとともに、2年間の車検業務停止も効力を失い、再申請が可能となる。

しかし、国交省は、ビッグモーター本社に対する監査などを通じ「本社による事業場管理機能の不全」や「社内監査の形骸化」「内部通報制度の未整備」「社内教育・研修体制の不備」「降格人事の頻発」「利益追求の企業風土に根ざした業績目標と給与体系」などの課題を把握した。このため新会社の再申請に際しても、同社が進める改善対策の進ちょくを踏まえるなどして厳格な審査を行う方針だ。

※日刊自動車新聞2024年(令和6年)4月1日号より