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自動車業界トピックス

国交省、事業場間の整備士融通 通達の解釈を明確化

「本社勤務」でも業務支援可能に

国土交通省は、整備事業場間における自動車整備士の応援に関する通達を一部改正した。同一の自動車特定整備事業者内なら、本社勤務の整備士資格保有者も店舗のサービス工場に業務支援できることを明確化した。従来の通達では、業務支援で整備士を「貸し出す事業場」(貸出事業場)の解釈に本社を含むかどうかが明確ではなく、地方運輸局などによって対応にもバラつきがあったという。国交省は通達の解釈を明確化し、地方運輸局などに周知することで、人手不足対策の一助としてもらいたい考えだ。

整備人材の確保は自動車業界にとって大きな課題だ

一部改正した通達は「自動車特定整備事業者などにおける事業場間の業務支援について」。9月27日に各地方運輸局の自動車技術安全部長や日本自動車整備振興会連合会(日整連)などに通知した。

この通達は2020年11月に発出した。業界の長年の課題である人手不足対策として、一定の条件を満たす場合は「他事業場からの業務支援による作業員であっても、作業員を借り入れた事業場で行った作業とみなす」とした。

ただ、整備事業者から「事業場間での整備士の業務支援だけでは人材確保が困難な場合がある」との声があり、今春には「事業場以外に勤務する整備士資格を有する者についても業務支援の対象となり得るのか」などの問い合わせが国交省に寄せられた。

「事業場=店舗のサービス工場」とするのは整備事業者と各地方運輸局などの共通見解だったが、整備士の貸出事業場に本社などの部署を含むかは解釈が分かれていたことが判明し、本省で改めて通達を明確化した。

具体的には、通達の「作業員を貸し出す事業場(貸出事業場)」という表記を「作業員を貸し出す事業場または事業場以外の部署(貸出事業場など)」と改正。▽双方の事業場が同一の特定整備事業者であること▽整備主任者と自動車検査員は対象外▽貸し出された作業員の作業範囲は点検・整備のみ―といった従来の条件に大きな変更はない。

少子化などを背景に、地方を中心に新卒の整備士確保が年々難しくなっている。整備士の高齢化や今後の自然退職者などを考慮すると、既存の人員を融通して現場の協力体制を整えることも人手不足対策の一助にはなる。もっとも、貸し出す側に人的な余裕がないと難しく、将来の整備人材を官民連携で増やすことが最大の対策であることには変わりなさそうだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月19日号より