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自動車業界トピックス

外国人人材の確保へ新制度、3年間で「特定技能1号」へ

技能実習制度は廃止 政府の有識者会議がたたき台

 外国人の技能実習制度と特定技能制度のあり方を議論する政府の有識者会議は、技能実習制度の廃止と「人材確保・人材育成」を目的とする新制度の創設などを提言する最終報告書のたたき台を示した。新制度では労働者として受け入れた外国人を、基本3年間で「特定技能1号」の水準に育成することを目指す。一定の要件を満たせば1年超で転籍を認める。年内にまとまる最終報告書を踏まえ、政府は来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。

新制度の受け入れ対象分野は、特定技能制度における自動車整備など「特定産業」の設定分野に限定する。日本での就労を通じた人材育成になじまない分野は新制度の対象とせず、特定技能制度でのみ受け入れる。

新制度では特定技能1号への移行を目指すため、外国人が従事できる業務範囲は現行の技能実習よりも幅広く、体系的な能力を習得できるよう特定技能の区分と同一とする。技能の評価は、現行の技能実習制度で活用している技能検定などのほか、特定技能1号評価試験で行うことも認める。在留期間は基本3年間とする。

特定技能1号への移行は、①技能検定3級または特定技能1号評価試験を合格②日本語能力試験「N4」合格相当(5段階の下から2番目、基本的な日本語を理解できる)―を条件とする。ただし、日本語能力試験は当分の間、認定日本語教育機関などで相当の講習を受けた場合も認める。特定技能1号に移行する試験の結果が不合格だった場合には、再受験のための最長1年の在留継続を認める。特定技能1号の資格を取得することで、さらに最長5年間働くことができ、「特定技能2号」の試験に合格すれば在留資格の更新回数の制限はなくなり、長期就労が可能となる。

転籍については「やむを得ない場合」の転籍の範囲を拡大・明確化し、手続きを柔軟化する。これに加えて①同一企業での就労が1年超②技能検定基礎級合格、日本語能力試験「N5」合格相当―などの一定要件を満たせば、同一分野内に限り「本人の意向による転籍」も認める。本人意向による転籍では、転籍前後の各受け入れ企業などが外国人の在籍期間に応じてそれぞれ費用分担するなど、その対象や負担割合を明確にし、転籍後の受け入れ企業にも負担させる措置を講じる。

特定技能制度については現行制度の目的を維持しつつ、制度の適正化を図った上で継続する。家族帯同は、現行制度と同様に新制度と特定技能1号でも認めない。

管理団体の許可要件も厳格化し、新たに許可を受ける必要があるとする。優良な管理団体や受け入れ企業などに対し、各種申請書類の簡素化など優遇措置をとる。

政府は、送出国政府と二国間取り決め(MOC)を新たに作成し、送出機関の取締りを強化する。各送出機関が来日前の外国人から徴収する手数料などの情報公開を求め、受け入れ企業などが一定の来日前手数料を負担する仕組みを導入する。外国人の負担を軽減することで、来日しやすい環境を整備する。

出入国在留管理庁の統計によると、自動車整備分野の特定技能1号在留外国人数は6月末時点で2210人。最も多い自治体は愛知県の187人だった。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)10月20日号より