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自動車業界トピックス

国交省、事業用軽貨物車の安全対策を強化

事故増加を受けて 2023年度末に新たな制度を取りまとめ

国土交通省は、貨物軽自動車運送事業者を対象とした安全対策を強化する。事業用軽貨物車による事故が増加傾向にあるためだ。まずは現行の安全ルールを徹底するようマニュアルを作成し、2023年度末には新たな対策をまとめたい考えだ。

16日に開かれた「貨物軽自動車運送事業適正化協議会」に、貨物軽自動車運送事業の今後の安全対策について「現行ルールの確実な実施のための措置」と「新たに講ずべき措置の必要性」を検討する方向性を同省が提示した。

事業用軽貨物車による事故が増えている

具体策の一つとして、貨物自動車運送事業者が行う運転者に対する指導や監督の実施マニュアル(トラック事業者編)をベースに、貨物軽自動車運送事業者向けのマニュアルを今年度中に作成する。また、運行管理者講習の受講や運転者の適性診断の受診を推奨するとともに、運行管理セミナーも開く。

貨物軽自動車運送事業は届出制で「運行管理者の選任」「事故の報告」「運行記録計による記録」などの義務はなく、許可制の一般貨物自動車運送事業と比べて安全規制が緩い。実態調査を通じて順法意識が薄い事業者が一定数、存在することも判明しており、国交省は事故の特徴なども踏まえながら、安全確保の実現に向けた必要な制度を検討する。23年度末までに一定の結論を出したい考え。

ドライバー兼個人事業主の割合が多いことなども踏まえ、輸送の安全確保に関する知識の習得や習熟度などを把握できる「eラーニング」システムの導入を検討。受講者に対して電子受講修了証を発行し、取引の目安にしてもらう。

電子商取引(EC)市場の拡大と宅配需要の急増を背景に車両台数が増える一方、事業用軽貨物車が原因の死亡・重傷事故件数は21年までの5年間でほぼ倍増した。事業用軽貨物車の保有台数も21年末で約30万台と、16年末から約7万台増えている。

24年4月1日からは自動車の運転業務について、時間外労働の上限規制と改正基準告示が適用される。貨物軽自動車運送事業では個人事業主が多いことなども踏まえ、国交省は実効性を持たせた安全対策をまとめたい考えだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月23日号より