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自動車業界トピックス

国交省、輸送事業者の脱炭素目標の判断基準案を策定

省エネ法改正に伴いEVなどへ転換促進

 国土交通省は、輸送事業者が脱炭素化の目標や取り組みをつくる上で目安となる判断基準案を固めた。省エネルギー法の改正に伴う措置で、努力義務を含め、すべての輸送事業者が「非化石エネルギー」の使用量を増やす必要がある。貨物輸送事業者に対しては、小型トラック(車両総重量8㌧以下)の場合、保有車両の5%を2030年度までに電気自動車(EV)など「非化石エネルギー自動車」にするよう求める。国内に約130万台ある営業用貨物車(緑ナンバー)の電動化が進みそうだ。

昨年5月に成立した改正省エネ法では、エネルギー使用の合理化対象に非化石エネルギーを加え、省エネとともに非化石エネルギーへの転換を事業者に促す内容に変わった。輸送業界を所管する国交省は、取り組みの目安となる判断基準案を検討してきた。パブリックコメント(意見募集)を経て、4月に施行する見通し。

このほど固まった基準案は、50年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の政府目標や技術開発動向、インフラ整備の状況などを踏まえ、輸送事業者が非化石エネルギーへの転換に向けた目標を設定する際の目安となる数値と取り組みを輸送モード別にまとめたものだ。

非化石エネルギーの使用量を増やす必要がある

まず、企業規模に関係なくすべての輸送事業者に「輸送の際に消費されるエネルギー量に占める非化石エネルギーの割合増加に取り組むこと」や、貨物や旅客の輸送に当たり「技術的かつ経済的に可能な範囲で目標と措置の実現に努めること」を求める。

加えて、輸送能力が一定規模以上の「特定輸送事業者」には、非化石エネルギーへの転換に関する目標を定め、進ちょくを毎年、国に報告するよう求める。トラック輸送事業者の場合、保有台数が200台以上の約350社が対象だ。

非化石エネルギー自動車の定義は、電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、水素自動車(燃料電池自動車を含む)、バイオ燃料・合成燃料を使用する自動車とした。ハイブリッド車(HV)は対象から外すが「エネルギーの使用の合理化に重要な役割を果たす」として、保有台数を輸送事業者の取り組みを評価する際の「参考」と位置づける。

貨物輸送事業者に対する大型トラック(車両総重量8㌧超)の目標については、EVなどの普及見込みや政府目標などの策定状況を踏まえ、30年度までに目安を検討する。旅客輸送事業者に対して示した保有台数に占める非化石エネルギー自動車の割合は、バスが5%、タクシーが8%とした。目安の数値は今後の技術開発動向などを踏まえ、随時見直す。

社内における取り組み方針の策定や推進体制の構築なども求める。また、利用者や荷主など、他の事業者との連携・協力を通じて非化石エネルギーへの転換を図る輸送を選択することも重要とする。自動車の場合、共同輸配送・共同運行の実施などを「取り組むべき事項」として挙げた。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)1月20日号より