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自動車業界トピックス

国交省の2023年度予算概算要求、電動化支援を強化

排ガス試験の見直し調査も盛り込み

国土交通省は26日、2023年度予算概算要求を公表した。一般会計で22年度当初予算比18%増の6兆9280億円を要求した。防災・減災対策、環境対応、デジタル化の分野に重点的に配分。自動車関連においても電動化促進の支援策を強化し、事業用自動車の電動車購入支援などに約3倍の13億円を計上した。日野自動車の認証不正問題を踏まえ、排出ガス・燃費性能の試験方法や審査手法などの見直しに向けた調査を新規施策の一つに盛り込んだ。

与党国土交通関係会議で示した。23年度予算では「国民の安全・安心の確保」「経済社会活動の確実な回復と経済好循環の加速・拡大」「豊かで活力ある地方創りと分散型国づくり」を柱に概算要求に取り組む。自然災害の激甚化・頻発化を踏まえた防災・減災対策の強化や、交通、観光、まちづくりなどでポストコロナを見据えた施策を盛り込んだ。

人口減少や少子高齢化に加えて、コロナ禍による需要減少で厳しい経営環境にある地域公共交通の確保・維持に向けて、官民や交通事業者間などによる「共創」で移動サービスを再構築する取り組みを推進。343億円を充てる。

23年度の一般会計のうち、1兆5929億円はグリーントランスフォーメーション(GX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)など「重要政策推進枠」と位置付けて、民間の投資やビジネス機会拡大を推進する。

自動車局は、一般会計と自動車安全特別会計を合わせて同5%増の646億円を計上した。一般会計は34億円で、今年度予算18億円から大幅に積み増した。地域交通のグリーン化に向けた電動車の購入支援を強化するため、同3億9200万円から約3倍の12億円に増額したことが大きい。「GX推進に取り組む事業者からのニーズの高まりを受けて予算要求を増やした」(自動車局関係者)という。

人手不足が深刻化する自動車整備業の人材確保・育成などの取り組みについても、大幅に予算要求を拡大した。一般会計と自動車検査登録勘定を合わせて4億7800万円と、今年度予算1億1700万円から約4倍と拡充した。

排出ガスの長距離耐久試験などで不正行為が発覚した日野の認証不正問題を受けて、試験方法や審査手法の見直しに向けた調査を行う。また、24年10月から本格運用が予定されるOBD(車載式故障診断装置)検査を確実に実施するための環境整備も実施する。いずれも新規施策となる。

国交省では、防災・減災、国土強靭化のための5カ年加速化対策、新型コロナウイルス感染症対策、原油価格・物価高騰対策などに必要な経費は、予算要求金額を示さない事項要求を行い、予算編成過程で検討する。「一般会計から自動車安全特別会計への繰り越し」として54億円を計上し、さらなる増額分については事項要求を行い、具体的な内容を検討していく考えだ。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)8月26日号より