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自動車業界トピックス

外国人技能実習制度の見直し、リサイクル業界も注目

高い海外需要を追い風に

日本が持つ自動車リサイクル技術へのニーズは高い

政府による外国人技能実習制度などの見直しを自動車リサイクル業界が注視している。日本自動車リサイクル部品協議会(佐藤幸雄代表理事)は昨年、技能実習制度の対象職種への認定を目指すプロジェクトチーム(PT)を立ち上げて活動を始めた。中古の日本車は海外でも人気が高く、法制化から20年近い歴史を持つ日本のリサイクル技術への関心も高い。業界としてはこうした期待に応えつつ、人手不足に悩む国内のリサイクル関連企業の人材確保につなげたい考えだ。

今でも自動車リサイクル関連企業の一部で外国人材を受け入れてはいる。ただ、自動車リサイクル業は技能実習制度の対象ではないため「工業包装」などの別職種で対応しているのが実情だ。当然、部品取りや解体などの作業に携わることはできない。

技能実習制度の対象職種に認定されるには、厚生労働省の専門家会議による審議を経る必要がある。PTでは、自動車リサイクル業界の概況や、海外における日本のリサイクル技術に対する需要などをまとめた資料の作成を進めている。認定を得るまでには3年ほどかかる見通し。PTを取りまとめる北島宗尚監事(JARA会長)は「自動車リサイクル部品製造業のような職種認定を受けることで、技能実習生が解体や部品取り作業ができる環境をつくりたい」と話す。

日本中古車輸出業協同組合(JUMVEA、佐藤博理事長)によると、22年は約124万台の中古車(車両価格20万円以上)が海を渡った。当局による優遇措置や燃費の良さでハイブリッド車(HV)も人気だ。日本自動車リサイクル部品協議会の佐藤代表理事は「将来は、世界各地で日本車のリサイクル需要が発生する可能性がある」と指摘する。技能実習を通じて次世代の若者に自動車リサイクル技術を伝え、母国の環境保護や資源循環に生かしてもらいたい考えだ。

技能実習制度に代わる新制度の方向性は、有識者会議が今秋にもまとめる最終報告書で明らかになる。PTでは今後も政府内の議論を注視しつつ、職種認定に向けた活動を進めていく。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月8日号より