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自動車業界トピックス

政府、高速道路の充電網整備を加速 導入補助の予算3倍に

複数口化や高出力化を促進

 

政府は、高速道路の充電インフラ整備を加速する。経済産業省が主管する充電器導入補助の2023年度予算額を前年度比で約3倍に増やし、充電器の複数口化や高出力化を促進する。ETCカードを利用した高速道路外の充電器活用も検討する。これらの政策に連動し、高速道路会社なども25年度までに急速充電器の口数を22年度末比で約2倍の約1100口に増設する見通しだ。

経産省と国土交通省は「高速道路における電動化インフラ整備加速化パッケージ」を発表し、サービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の充電インフラの増設や利便性の向上に向けた具体的な促進策をまとめた。

経産省は「充電・充てんインフラ等導入促進補助金」の300億円(22年度第2次補正予算と23年度当初予算案)のうち、約175億円を充電器の拡充や整備などに充てる。前年度の65億円の3倍弱へ大幅に予算を積み増した。

SAやPAの充電器の複数口化や高出力化などを目指す

高速道路のSA・PAで1基6口タイプの充電器を設置する場合、工事費の補助上限額を従来の3100万円から6200万円に増額する。充電渋滞の解消や複数台同時充電のニーズに対応する。

90㌔㍗以上の公共用高出力充電器については、設置後の電力コストの一部も補う観点から、初期投資にかかる補助率と上限額を引き上げる。

高出力対応の高圧受電設備の補助枠も拡充する。これまで150㌔㍗以上の設備は一律上限400万円としていたが、新たに設置設備の総出力が「250㌔㍗以上は上限500万円」「350㌔㍗以上は上限600万円」とした。電気バス(EVバス)など商用車の充電環境整備につなげる狙いだ。

高速道路出入口周辺のEV急速充電器を活用できる制度も検討する。ETCカードなどによる新たな課金・決済の導入も含め、関係機関と連携しながら24年度から実施したい考え。将来的には水素ステーションでの活用も念頭に置く。

電動車に加えて自動運転車の普及も見据え、高速道路のSA・PA駐車場の機能高度化も進める。駐車場の立体化や自動バレーパーキングなどが一例となる。整備費用の一部を国からの補助金で支援する制度創設の法案が今国会で審議されている。

経産省と国交省との発表に合わせて、東日本、中日本、西日本の高速道路3社とeモビリティパワー(四ツ柳尚子社長、東京都港区)も、EV急速充電器の高出力化・複数口化を推進し、25年度までに充電口数を約1100口に増設する整備見通しを発表した。

経産省と国交省によると、高速道路のSA・PAの充電器は、23年3月末時点で546口の見込み。このうち約8割は30~50㌔㍗が中心となっている。大都市周辺と東名阪以外を除くと稼働率は低い。

経産省は、現在検討中の30年に向けた充電インフラ整備に関するロードマップを策定するに当たり、高速道路とその周辺における必要数と具体的な配置イメージについて「6月中をめどに議論を深める」とする。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月6日号より