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自動車業界トピックス

EVやPHVの充電料金、値上げの動き相次ぐ

電気代高騰で価格体系を最適化 持続可能なインフラ構築へ

電気代高騰で充電料金維持が困難に

電気代の高騰を背景に電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電料金を引き上げる動きが広がってきた。トヨタ自動車は1日に料金体系を見直し、既存プランの基本料金を1100~1980円引き上げた。充電サービスを手がけるeモビリティパワー(eMP、四ツ柳尚子社長、東京都港区)も7月に料金を引き上げることを決めた。ランニングコストの安さがEVの大きなメリットではあるものの、持続可能な充電インフラの構築に向けて料金体系の最適化を図る。

eMPは3月末、7月1日付で主要プランの料金体系を改定すると発表した。基本料金は下げるものの、充電時間1分当たりの利用料金を急速充電で11円、普通充電で1.1円引き上げる。非会員の充電料金も急速充電器(90㌔㍗以上)の1~5分までの利用料金を現行比110円高の385円に、6分以降の1分当たりの利用料金を現行比22円高の77円にする。同社は「電気料金が依然として高い水準で推移している状況で従来の価格を維持することが困難となった。不本意ではあるが、利用料金を改定する」と説明する。

同社がユーザー向けの充電料金を引き上げるのは、充電インフラの設置事業者の電気代の負担が上昇しているからだ。eMPは、ユーザーから利用料金を徴収し、充電インフラを設置する提携企業に利用量に応じた提携料を支払う仕組みで充電インフラを運営しているため、電気代の変動分を直接負担するのは設置事業者となる。このため、同社は今回、ユーザー向けの充電料金の改定に合わせ、充電インフラを設置する提携企業向けの提携料も見直し、1分当たりの価格を急速充電器で4.62円高の15.4円に、普通充電器で0.55円高の2.2円に引き上げる。同社は「高出力の急速充電器は今回の改定水準でも不十分」としており、今後は出力量に応じた料金制度の導入の検討を本格化するという。

充電インフラの会員サービスは自動車メーカーでも展開しており、トヨタは1日付で料金を改定した。普通充電のみのプランを新たに設定し、普通充電しか利用できないPHVの利用者などの利便性を高める一方、急速充電と普通充電を併用する既存プランは電力代の高騰を反映して基本料金、利用料金ともに引き上げた。

このほか、アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドが加盟する「プレミアムチャージングアライアンス」は、「すぐに上げることはないものの、(電気代高騰を踏まえた)料金の見直しは検討している」(アウディジャパン広報)という。

東京電力の場合、燃料価格の高騰を踏まえ、4月1日から法人向けの標準料金を3%引き上げた。一時と比べ、燃料価格が下落しているため、電力会社の値上げ率は当初の予定より圧縮する方向にあるものの、高水準であることに変わりはない。充電器の高出力化も進む中、充電料金が今後も上昇する可能性がありそうだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月6日号より