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自動車業界トピックス

経産省、合成燃料の商用化を2030年代前半へ前倒し

官民協議会の中間取りまとめ案 EUでの容認の動き受けて

既存の内燃機関車のカーボンニュートラルにつながる

経済産業省は、合成燃料(eフューエル)の導入促進に向けた官民協議会の中間とりまとめ案をこのほど公表した。商用化時期を現行目標である2040年から30年代前半へ前倒しする。再生可能エネルギー由来の水素で製造するeフューエルの国産化に向けて設備投資や技術実証も支援する。欧州連合(EU)がeフューエルの使用を前提に35年以降も内燃機関車の販売を認める方針に改めるなど、合成燃料への注目が高まる中、日本も開発や普及の取り組みを前倒しする。

eフューエルは、既存の内燃機関車にも使える脱炭素燃料として期待される一方、高い生産コストが課題だ。1㍑当たり700円近くなるとの政府試算もある。

コストの9割を占める水素価格を短期間で下げるのは難しく、政府はeフューエルの商用化時期を40年頃と見込んでいた。ただ、EUは35年以降に販売を禁止する予定だった内燃機関車をeフューエル使用を前提として容認する方針に転じた。4月に札幌市で開催された先進7カ国(G7)気候・エネルギー・環境大臣会合の成果文書でも、合成燃料とバイオマス(生物由来)燃料の可能性に言及し、ハイブリッド車(HV)も含めた内燃機関車を事実上、容認した。

こうした背景もあり、中間とりまとめ案ではeフューエルを30年代前半までに商用化する方針を示した。「グリーンイノベーション(GI)基金」による支援の枠組みも拡充する。また、eフューエルの具体的な供給量目標や、eフューエルの導入拡大までの移行期におけるバイオ燃料の拡大方針などについても今後、詰めていく。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)5月18日号より