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自動車業界トピックス

経産省、EVなど車載電池のカーボンフットプリント算定方法案

「使用段階」を除く全行程で

経済産業省は21日、電気自動車(EV)などに積む車載電池のカーボンフットプリント(CFP)算定方法案を省内の関係会議に示した。原材料の調達から製品廃棄までのライフサイクルアセスメント(LCA)上で「使用(走行)段階」を除く全工程でCFPの算定を企業に求める。2024年度以降に「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」の補助条件としてCFPの算出を課すことも視野に入れる。CFPに関しては、早ければ来年にも欧州委員会が車載電池のCFP表示を義務化する方針。日本としても早急に算出方法の確立と普及を目指す。

使用(走行)段階の二酸化炭素排出は算定から除外する

CFPは、LCAの中で排出される温室効果ガス(GHG)を把握し、二酸化炭素(CO)換算で表示するもの。車載用電池では、原材料の「調達段階」、電池の「製造段階」、工場から販売店まで輸送する「流通段階」、廃棄やリサイクルといった「使用後段階」の大きく4段階においてCFPを算定する。

使用段階の算定に関し、当初は対象に加える方向で検討していたが「算定の要(かなめ)となる充放電ロス量を計算する仕組みを確立できなかった」(経産省担当者)として現時点では対象から除外する。欧州の電池規則でも、使用段階は算定の対象外だ。

LCAの中で最もGHGの排出量が多いのは原材料の調達と製造工程だ。経産省の試行事業では、この2工程で排出されたGHGは全体の75%を占めた。このうち正極や電池モジュールなど、排出量の大半を占めるプロセスでは、実測値である「1次データ」を基準にCFPを算定する。

関係企業に対しては、まずはCFPの算定作業を求める。その後、段階的に情報開示などの要件化を検討していく。ただ、CFPの具体的な数値に関しては、企業の競争力に関わるとして現時点では公表を求めない方針。一方でCFPデータ共有のプラットフォーム整備も進め、サプライチェ―ン(供給網)全体で排出量を把握できる仕組み作りも進める。

24年度以降のCEV補助金では、CFPの算定などを補助要件に加えることを検討する。将来的には強制力を持つ制度設計の導入も視野に入れている。車載電池のCFP算出においては、24年以降の義務化を予定する欧州が先行する。経産省としては、日系メーカーが競争上、不利にならないように制度設計を進める考えだ。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月22日号より