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自動車業界トピックス

自販連、全会員へ温室効果ガス排出量算出ツールを提供

業界挙げた脱炭素化で新車ディーラーの経営基盤強化へ

日本自動車販売協会連合会(自販連、金子直幹会長)は、2023年度末までに全会員ディーラーの温室効果ガス排出量を可視化する。排出量算出ツールなどを提供し、排出削減の取り組みを支援するとともに、削減手段や好事例を共有して自動車流通業界のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)につなげる。温室効果ガス排出の可視化は、取引や事業活動上の重要性が増す製造業などで急速に広がる一方、流通業界では取り組みが遅れている。自販連は、手をこまねいていれば将来的に会員各社の取引や資金調達などに影響が出かねないと判断し、業界を挙げて脱炭素化を進める。

自動車流通のカーボンニュートラルを目指す

今年3月末に脱炭素化に向けた行動計画「ディーラー業界におけるカーボンニュートラル戦略」をまとめ、会員に公開した。この一環として、23年度末までに全会員に排出量算出ツールの導入を促す。自販連が損害保険会社と共同で開発したツールを含め、複数の選択肢を提示し、メーカー系列や企業規模を問わず導入しやすい環境を整える。

会員ディーラーは算出データに基づき、3年後の26年度末をめどに自社の削減目標をまとめて削減活動に取り組む。自販連としては、政府が「13年度比46%減」の目標を掲げる30年度時点で、業界として一定の成果を示したい考えだ。

目標達成に向けた具体的な取り組みとして、環境省が定める「エコアクション(EA)21」の認証取得も促す。第三者による審査や報告書の提出義務が生じるため、取り組みの実効性がより高まるとみている。5月中をめどに、取得手順を紹介する研修動画を制作して公開する考えだ。金子会長は「排出削減の取り組みとして認証取得は有効だ」と話し、橋本覚企画委員長も「26年度末までに全会員に取得してもらいたい」と語った。

足元では自動車メーカーやサプライヤーなどで取引先の脱炭素を促す動きが広がりつつあるほか、金融機関でも融資の審査時に企業の環境対応を考慮することが増えている。流通・小売り業は製造業などに比べて温室効果ガスの排出量が相対的に少ないが、将来的に取引や資金調達で不利益を被る恐れがある。ダイハツ工業は、温室効果ガス排出の少ない次世代店舗を検討中だ。

自販連は、21年末から「カーボンニュートラル部会」の立ち上げに着手。昨年2月の金子会長の就任以降、急ピッチで検討を進め、行動計画の策定にこぎ着けた。今後、会員の削減目標策定の支援体制を整えるとともに、他の自動車団体や異業種との連携も模索し、脱炭素化への実効的な貢献とともに、脱炭素化の取り組みを通じた会員の経営基盤強化を目指していく。

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)4月25日号より