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自動車業界トピックス

西村経産相、円安進行で国内回帰に「大胆な支援策」

総合経済対策に具体策

西村康稔経済産業相は21日の閣議後会見で、急速に円安が進む市場動向を踏まえ「国内への設備投資を促す大胆な支援策を検討していく」と語った。足元では約32年ぶりに1㌦=150円台まで下落し、2022年度上期(4~9月)の貿易赤字が過去最大の11兆円規模に膨らむなど日本経済は厳しい局面を迎えている。海外からの輸入が不利な状況にある中、経済産業省は製造業などの国内回帰を促すことで反転攻勢のきっかけとしたい考えだ。

20日の外国為替市場では1㌦=149円90銭台にまで値下がりした。150円を下回ったのはバブル崩壊以来、約32年ぶり。日米などの金利差に加え、今は輸入のための実需のドル買い圧力が増しているとの見方がある。財務省によると、上期の貿易収支は11兆75億円と過去最大の赤字だ。ウクライナ危機の影響で原油などのエネルギー価格が高騰したことに円安が重なった。

グローバルなサプライチェーン(調達網)を持つ自動車産業にとっても為替動向の先行きは気がかりだ。海外に生産拠点を多く持つ完成車メーカーや大手部品メーカーは円安の恩恵を少なからず受けているものの、完成車生産の現地化で恩恵は以前よりも小さくなっている。一方、国内に拠点を集約している中小サプライヤーは資源高にあえぐ。

西村経産相は、エネルギーや食料、部品などの輸入面が厳しい状況であることを認めつつも「国内への投資を拡大するチャンスでもある」とし、政府として企業の設備投資などを支援していく考えを示した。熊本県に半導体生産工場を新設中の台湾積体電路製造(TSMC)のように「成長が見込まれる業種に大胆な行政支援をしていく」と強調した。設備投資への支援は自動車など製造業も対象になるとみられる。西村経産相は、今月末にも政府が決定する総合経済対策に具体策を盛り込む方針だ。

加えて、中小企業の輸出支援策も検討する。中小企業は大企業と比べて国内に商圏を持つ企業が多く、円安は逆風だ。経産省としては、輸出額を拡大し、グローバルに供給網を持てるよう、中小企業への支援体制を一段と拡充していく。

※日刊自動車新聞2022年(令和4年)10月22日号より