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連載「JAMA 2023 大学キャンパス出張授業」(4)スバル 堀陽一執行役員

スバルの堀陽一執行役員は10月12日、千葉工業大学の津田沼キャンパス(千葉県習志野市)で「スバルのモノづくりと、それを支える人」をテーマに講演した。堀執行役員はこれから社会人となっていく学生に向け「何か社会の役に立つ人になってほしい」と呼びかけた。

堀執行役員は、スバルの沿革や、現在の事業内容を紹介した。「アウトバック」の開発責任者を務めた経歴を持ち、技術者としてスバルのモノづくりに対する考え方も語った。堀氏は今年、執行役員に就任した。「私の役割を一言で表現すると、技術と経営をつなぐこと。技術を選択することは、会社の将来を決めていくことにもつながる時代になっている。例えば、電気自動車でどのような電池を使うかなど、その選択が10年、20年先の会社の収益性を決めてしまうことにもなる」と話した。技術者の「卵」でもある学生に向けて、技術の重要性について説明した。

「何か人の役に立つ人になって」と話す堀陽一執行役員

学生との主な質疑応答は次の通り。

―スバルに入社して良かったことや悪かったことは

「クルマのことを知りたくて入社した。つらいのは、期日やコストの制限がある。コストが厳しいわけではないが、エンジニアとしてはジレンマがある」

―アイサイトは既存車種に取り付けられるか

「後付けの要望は聞いている。検討しているが、いつまでに実現できるとは言えない。年式など搭載できるものも限られてくる」

―「2030年に死亡事故ゼロ」という目標を掲げている。どのような事故対策をしているか

「各社、同様のことを言い始めている。(他社と)違うのは、実績として出てきていることだ。ゼロにしていくためは、交通環境や動物の飛び出しなどを含め、さまざまなことを考えないといけない。車内に何人乗っているかなども含め、消防や救急に通報できるシステムの開発などを進めている」

―アウトバックの米国と日本仕様の違いは

「見た目はあまり違わないと思われているかもしれない。米国製は米国でつくっている。米国製の鉄板と日本の鉄板は異なる。工場によっていろいろと分けている。ただ、車両のサイズは一緒だ」

会場となった千葉工業大学の津田沼キャンパスには実車も展示された

―今後のMT(手動変速機)車の開発方針は

「MT車は私も大好きだ。ただ、規制や環境として、二酸化炭素(CO2)の削減に向けては不利だ。MTは『BRZ』のみとなっている。(MT車をなくさないためにも)ぜひ皆さんに買ってもらいたい(笑)」

―北米の売上比率が高い。北米以外での市場をどう見ているか

「スバルは『米国一本足』と言われている。今後、EVをしっかりとつくっていかなければならない。米国以外にも広げていきたいと考えている」

―カーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向けた考えは

「カーボンニュートラルではすでに取り組みを始めている。工場の電力は再生可能エネルギーを使用している。車両部品の一部でもペットボトルの再生材を使っている。(カーボンニュ―トラル時代も)単純な移動手段ではなく、(乗り手を)ワクワクさせるようなクルマをつくりたい」

※日刊自動車新聞2023年(令和5年)12月1日号より